英会話では自分が英語を話せればよいだけでなく、相手の話す英語が聞き取れないといけません。
しかし、リスニングの勉強法はいろいろありますので、何をやればよいのか迷いますよね?
そこでこの記事では、英会話に役立つ効果的なリスニング勉強法について解説します。
やることを絞ってトレーニングすることで、リスニング力は確実に伸ばすことができます。
リスニングに必要な3つの力
リスニングに必要な力は3つです。この3つの力を鍛えれば、リスニングは必ずできるようになります。
リスニングに必要な3つの力
英語を聞き取るとき、脳の中ではいくつかの処理をほぼ同時に行っています。
その主な処理は以下の3つです。
- 音を認識する
- 単語を認識する
- 文法を理解する
この中のどの処理に問題があっても、英文を正確に聞き取ることができません。
音を認識する力
英語が流れてきたときに、最初に行われる処理が「音を認識する」ことです。
音を正しく認識できないと、その後の処理に対して間違った情報を送ることになるため、最終的には意味も正確に把握することができません。
例えば、次のように wrong を long と聞き間違えると、まったく違った意味として捉えることになってしまいます。
<流れてきた英語>
(A)It was a wrong answer.
<認識した英語>
(B)It was a long answer.
意味はそれぞれ以下のようになります。
(A)それは間違った答えでした。
(B)それは長い答えでした。
この他にも、音のつながりや強弱、抑揚などによって音を正しく認識することが難しくなりますが、それを克服するのがリスニングの勉強です。
単語を認識する力
音が正しく聞き取れても、その音に該当する単語を知らなければ、正しい意味の把握にはつながりません。
例えば、 先ほどの例文で説明しますと、
It was a wrong answer.
という英文の音を正しく認識できたとしても、この中の wrong という単語を知らないと、
それは〇〇な答えでした。
と、一部分だけがわからない状態になります。
つまり、この英文の意味を正しく理解することができません。
これは単語を知っているかどうかの問題です。
文法を理解する力
音と単語を正しく認識できたとしても、文法がわからなければ、文全体の正しい意味をつかむことはできません。
例えば、次の英文を聞いたとします。
My mother made me eat vegetables.
この英文の中の単語をすべて知っていたとしても、文法がわかっていないと、次のような解釈をしてしまわないとも限りません。
私の母は私が食べる野菜を作ってくれました。
正しくは
私の母は私に野菜を食べさせました。
です。
いわゆる「使役」という文法になります。
文法は文全体の正しい意味をつかむのに必要ですので、必ずマスターしておきましょう。
以上、3つの力がリスニングには必要です。
単語と文法はリスニング以外にも必要
ここまでで、リスニングには次の3つの力が必要であることがわかりました。
- 音を認識する力
- 単語を認識する力
- 文法を理解する力
このうち、単語と文法はリスニング以外にも、英語を話したり(スピーキング)、読んだり(リーディング)、書いたり(ライティング)する際にも必要になります。
特に英会話ではスピーキングは絶対に必要ですので、単語と文法の勉強を避けて通ることはできません。
単語を覚えたり、文法を身に付けるのは、リスニングとは切り離してできることですので、リスニングの勉強とは別に時間を取ってやっておきましょう。
特に文法に関してはなるべく早い段階で身に付けることをおすすめします。
文法があやふやな状態で英語を聞く練習に入ってしまうと、聞き取れない部分があるたびに文法を確認することになるので非効率だからです。
文法の勉強法については以下の記事を参考にしてください。
リスニングの勉強法
ここからは、リスニング力を強化するための具体的な勉強法について解説していきます。
リスニングの勉強で大事なこと
リスニングの勉強で最大限の効果を出すために大事なポイントがありますので、覚えておきましょう。
それは
意味を理解している英文を何度も繰り返し聞くこと
です。
ポイントを分けると
- 意味を理解している
- 繰り返し聞く
となります。
どちらが欠けても、最大限の効果は得られないので注意しましょう。
逆に言いますと、次のような練習は好ましくないということです。
- 英文の意味がよくわからないまま繰り返し聞いている
- 英文の意味は理解しているが1回聞いて終わり
回数に関しては何回聞けばOKというものはありませんが、目安を教えて欲しいというのであれば、最低でも「10回」は繰り返しましょう。
それ以上の回数については時間の許す限りです。
管理人おすすめのリスニング勉強法
管理人である僕が普段よく行っているリスニング勉強法をご紹介します。
ちなみに、僕はこの方法でTOEICのリスニングで満点を取りましたので、間違いのない方法です。
やることは次の3つです。
- 音読
- オーバーラッピング
- シャドーイング
音読はわかりますよね?英文を見ながら声に出して読む練習です。
オーバーラッピングとシャドーイングについては以下で簡単に説明しておきます。
オーバーラッピング
英文を見ながら、流れてくる音声に一致させるように音読する練習。
英語の音に慣れることが主な目的です。
以下のような感じで、音をピッタリと合わせます。
(音声)This is a pen. I bought it yesterday.
(自分)This is a pen. I bought it yesterday.
最初はどうしてもズレてしまいますが、何度も繰り返して一致させるようにしましょう。
シャドーイング
英文を見ないで、流れてくる音声に少し遅れながら口に出して付いていく練習。
オーバーラッピング同様、英語の音に慣れることが主な目的ですが、英文を見ない分だけ難度も上がります。
以下のような感じで、音声より2~3語遅れて英語を話します。
(音声)This is a pen. I bought it yesterday.
(自分) This is a pen. I bought it yesterday.
慣れるまではかなり難しく感じますが、あきらめずに付いていきましょう。
シャドーイングの詳しいやり方については以下の記事を参考にしてください。
練習の順番
まずは、30秒~1分程度の素材を用意しましょう。
素材を用意したら、音読、オーバーラッピング、シャドーイングの3つの練習を行うための下準備をします。
下準備は、3つの練習に入る前に英文を理解している状態にするのが目的です。
以下のステップで下準備を行います。
- これ以上は聞き取れないというところまで返し聞く
- 単語や文法、意味を確認し、わからないところをなくす
- 英文全体をさらに5回ほど聞く
下準備が終わったら、音読、オーバーラッピング、シャドーイングの3つの練習の開始です。
これらを次のような順番で練習します。
- 音読とオーバーラッピングを交互にそれぞれ5回繰り返す。
- シャドーイングを10回繰り返す。
音読とオーバーラッピングを交互に繰り返すのには理由があります。
音読だけを続けると、自分の発音とモデル音声のズレが大きくなっていくため、音読の後のオーバーラッピングでこのズレを戻すためです。
これについては以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
いずれもうまくできなければ追加で練習します。
また、シャドーイングは必ず最後に行ってください。
音読とオーバーラッピングによって英文が頭に入った状態で行ったほうがスムーズにできるからです。
というより、ある程度スムーズにできないと効果はありません。
シャドーイングが終わったら1つの学習が完了です。
非常にシンプルですが、これを繰り返すことでリスニング力は確実に伸びていきます。
リスニングの勉強法は他にもいろいろありますが、あれもこれもやる必要はありません。
やることを絞ってそれを集中的にやるほうが高い効果が得られます。
忘れた頃に同じ素材を使って練習
一度学習が終わった素材を使って再度リスニングの練習をするとより効果的です。
数カ月~半年も経てばだいたい内容は忘れていますので、その頃にまた同じやり方で練習しましょう。
実際にやってみると、前回と同じところが聞き取れなかったり、うまくシャドーイングできなかったりしますが、そこが自分の弱点です。
自分の弱点が完全に克服できていないわけですから、再度練習する価値があります。
ちなみに、僕はTOEICのリスニング対策をしているときに、公式の「プラクティス リスニング編」を使ってこのやり方を実践していました。
3回ほど繰り返しましたが、いずれも覚えている内容が流れてくるという感覚はほとんどなかったので、時間をおけばまだ使えるのかなと思っています。
リスニングのその他の勉強法
ここではその他のリスニング勉強法をご紹介しますが、これらは余裕があるときにやればOKです。
次のような勉強法があります。
- ディクテーション
- リピーティング
では簡単に説明しておきます。
ディクテーション
流れてきた音声を書き取る練習。
聞き取れない部分を明らかにして、そこを潰していくことが主な目的です。
30秒~1分程度の短い英文の音声をところどころ止めながら、流れてくる英語を紙に書いていきます。
書き終わったら、スクリプトと自分が書いた英語を照らし合わせて、どこが間違っているのかを確認。
そして、間違っている部分を重点的に繰り返して聞きます。
紙に書きだす分、時間も労力もかかりますが、自分の弱点を知るのに最適なリスニング勉強法です。
ディクテーションの詳しいやり方については以下の記事を参考にしてください。
リピーティング
流れてきた音声を一旦止め、そこまでの英語を声に出して再現する練習。
英語の音に慣れることや英文の構造把握力を強化することなどが主な目的です。
英文が短かければその英文が終わったところ、英文が長ければ区切りのよいところで止め、そこまでの英語を声に出して言ってみます。
その後、自分が話した英語が正しいかどうかをスクリプトで確認。
そして、間違っていれば正しくできるまで繰り返します。
英文を記憶しておく必要もあるため、リスニングの勉強法としてはかなり高度です。
リピーティングの詳しいやり方については以下の記事を参考にしてください。
気を付けたいリスニング勉強法
リスニングは勉強法を間違えるとなかなか伸びません。ここでは注意すべきリスニング勉強法について解説します。
次のような勉強は注意が必要です。
- 聞き流し
- 難しすぎるものを使っている
- 海外ドラマを見ている
- 視覚に頼った学習をしている
では順に解説します。
聞き流し
「聞き流すだけでOK」といった教材も販売されていますが、その宣伝文句を鵜呑みにしないようにしましょう。
英語は意識的に聞かない限り、リスニング力は上達しないからです。
ただ、他の作業をしているときに「聞かないよりはマシ」ということで、英語の音声をかけっぱなしにしているのは悪くないと思います。
難しすぎるものを使っている
自分のレベルを大きく超える素材は使わないようにしましょう。
難しいものを使ったからといって、上達が早くなるわけではないからです。
「少し難しいかな」と感じるくらいのものを上限にして素材を選びましょう。
海外ドラマを見ている
英会話を学習している人であれば、海外ドラマのような英語に憧れるかもしれませんね。
しかし、海外ドラマではネイティブが日常生活の中で普通に使う英語が話されていますので、かなり難しいです。
少なくとも英語力が初級~中級の段階では避けたほうが無難だと言えます。
視覚に頼った学習をしている
海外ドラマもそうですが、テレビの英会話講座やDVD教材など視覚を利用した学習素材は、使い方を間違えると大した効果は期待できません。
視覚情報があることで、わかった気になってしまう可能性があるからです。
利用するのは悪いことではありませんが、あくまでリスニング力を鍛えることが目的なら、視覚に頼らず音声に集中してトレーニングするようにしましょう。
リスニングの勉強で心得ておくべき2つのこと
リスニングの勉強をする際に心得ておきたいことがあります。
それは次の2点です。
- 集中する
- 毎日やる
では順に解説します。
集中する
リスニングではたくさん聞くことが大事ですが、それ以上に大事なのが集中して聞くこと。
集中しないと脳が英文を分析しないため、いわゆる「聞き流し」と同じ状態になってしまうからです。
3時間ボーっと聞くより、30分集中して聞くほうが、はるかに高い効果が期待できます。
外出中などで集中することが難しい場合は仕方がありませんが、自宅で学習するときはできる限り集中した状態で、リスニングの勉強をするようにしましょう。
集中するためのコツがありますので、それをお伝えしますね。
それは
一発で聞き取るつもり聞くこと
です。
もし1回目で聞き取れなかったら2回目は絶対に聞き取るつもりで聞きます。
実際の英会話では相手は何度も繰り返してはくれません。
常に、目の前の人が自分に話しかけていると思ってリスニングの練習をしてください。
そうすると聞き取れないと困りますので、必然的に集中して聞くようになります。
「これは本番ではない」という意識はナシです。
毎日やる
リスニングの勉強は毎日やりましょう。
どんなに忙しい日でも、5分や10分が取れないはずがありません。
「たった5分なんてやっても意味がない」と思わないでください。
たとえ1日5分でも毎日続けると
- 1カ月で150分(2.5時間)
- 6カ月で900分(15時間)
- 1年では1800分(30時間)
の勉強量になります。
こう考えると大きいですよね?
まさに「継続は力なり」です。
また、毎日やることによって習慣になるというメリットがあります。
習慣になると勉強するのが苦痛でなくなりますので、長く続く英会話学習においては好都合なのです。
リスニングの勉強で心得ておくべき2つのこと
- 集中する
- 毎日やる
つまり「集中して毎日やる」は忘れないようにしましょう。
リスニング教材の選び方
ここでは、リスニングの勉強で使う教材の選び方について解説します。教材の選び方を間違えると最大限の効果は得られませんので、注意が必要です。
難易度について
難易度は難しすぎず易しすぎないものを選びましょう。
難しすぎると挫折しますし、易しすぎると負荷がかからないためあまり効果はありません。
初めて聞いてだいたい70%くらい理解できるものが素材としては適切です。
これくらいのレベルであれば適度に負荷がかかるため、効果的なトレーニングができます。
内容について
興味のある分野があれば、迷わずそれを選びましょう。
逆に興味のない分野の素材を選んでしまうと、続けるのが苦痛になって挫折につながります。
特に分野にこだわりがないのであれば「ニュース記事」がおすすめです。
ニュース記事では比較的シンプルな英語が使われていますので、英語力が初級~中級レベルの段階でも学習しやすいと思います。
特徴について
リスニング用の教材はスクリプトが付いているものを選びましょう。
スクリプトがないと、聞き取った英語が正しいかどうか確認できないからです。
スクリプトで確認した正しい英文と音を結び付ける練習を繰り返すことで、リスニング力は伸びていきます。
市販されているリスニング教材であれば、スクリプトは付いているはずなので問題はありませんが、ネット上のライブニュースなどにはスクリプトがないものもありますので、始める前に確認しておきましょう。
おすすめのリスニング教材
管理人がおすすめするリスニング教材は『TOEIC公式問題集』です。
主にこの教材のPart3とPart4をリスニングの練習用として使います。
おすすめのポイントは次のとおり。
- 難しすぎず易しすぎない
- ビジネスを中心に一般的な内容
- スクリプトが付いている
- 1つの問題が30秒~1分と繰り返しに最適な長さ
TOEIC対策として使うわけではないため、最新版である必要はありません。
すでに持っているのであれば、古くてもOKです。
この教材をみっちり使ってリスニング力を鍛えましょう!
まとめ
この記事では『英会話のためのリスニング勉強法』について解説してきました。ここでポイントをまとめておきます。
リスニングには次の3つの力が必要です。
- 音を認識する力
- 単語を認識する力
- 文法を理解する力
リスニングの勉強で大事なことは「意味を理解している英文を何度も繰り返し聞くこと」です。
逆に言うと、次のような練習は好ましくありません。
- 英文の意味がよくわからないまま繰り返し聞いている
- 英文の意味は理解しているが1回聞いて終わり
管理人がおすすめするリスニングの勉強法は次の3つで、理解し終わった英文を使って行います。
- 音読
- オーバーラッピング
- シャドーイング
内容を忘れた頃に同じ素材を使って練習しましょう。同じところでつまづけば、そこが自分の弱点です。
次のような勉強は効果が薄いため、なるべく避けるようにしましょう。
- 聞き流し
- 難しすぎるものを使っている
- 海外ドラマを見ている
- 視覚に頼った学習をしている
リスニングの勉強では次の2つのことを心得ておきましょう。
- 集中する
- 毎日やる
リスニング教材の選び方のポイントは次のとおり。
- 70%くらい理解できる素材
- 自分に興味のある分野やニュース記事
- スクリプトが付いているもの
管理人がおすすめするリスニング教材は『TOEIC公式問題集』です。
以上となります。