ディクテーションはリスニング力を伸ばすのに効果的と言われていますが、やり方については情報がたくさんあるので迷いますよね。
そこで、僕自身の経験をもとにして、ディクテーションの効果的なやり方についてわかりやすく解説します。
このとおりにやれば、リスニング力は確実に上達しますので、ぜひ試してみてください!
ディクテーションについて
まずはディクテーションの概要について確認しておきましょう。
ディクテーションとは
ディクテーションとは、流れてきた音声を書き取る作業のことで、主にリスニング力を伸ばす練習法として知られています。
CDの音声を流して紙に書き取るのが最も一般的な方法ですが、Webサイトの音声コンテンツを使ったり、アプリを使ったりと、ディクテーションのやり方は様々です。
ディクテーション専用の教材も販売されていて、英語学習の一つとして確立しています。
そして、ディクテーションの目的は
自分の弱点を見つけて克服すること
ここを目指してトレーニングしていきます。
ディクテーションの効果
ディクテーションの主な効果として次の2つがあげられます。
- 音に強くなる
- 文法に強くなる
簡単に説明しますね。
音に強くなる
音声を書き取るためには音を正確に聞き取る必要があります。
発音、イントネーション(抑揚)、リエゾン(音の変化)、リズムなどが正確に聞き取れないと、文の形で再現することが難しいからです。
ディクテーションを行う過程で何度も音声を聞きますし、スクリプトで確認した後もお手本の音声を何度も聞くため、必然的にこうした音の要素に強くなっていきます。
文法に強くなる
ディクテーションを行っていると聞き取れない箇所が出てきます。
そうすると、そこにはどのような単語やフレーズが入るのか考えないといけません。
音がダメなら文法面から推測するというわけですね。
この「文法面から推測する」という過程が大事で、これを繰り返していると、文法を含めた文構造に強くなります。
ディクテーションの効果は、細かく見れば他にもいろいろありますが、大きく分けると上記の2つです。
ディクテーションを始める前に
ディクテーションを始める前にチェックしておきたいことがあります。
それは
文法がひととり身に付いているかどうか
ということ。
そもそも文法を理解しないで音だけを拾って書き取るのは難しいですし、聞き取れない箇所を文法面から推測することもできないからです
もし、文法があやふやな状態であれば、まずは文法を総復習しておきましょう。
ディクテーションをやるのはそれからです。
ディクテーションの効果的なやり方
ここではディクテーションの効果的なやり方について解説します。やり方を間違えると効果が薄くなりますので、注意してください。
ディクテーションのやり方(5つのステップ)
ディクテーションは次の5つのステップで行います。
- 概要を把握するため英文全体を数回聞く
- 英文を1文だけ聞いて書き取る
- スクリプトを見て確認し、弱点を分析する
- 間違ったところを重点的に繰り返し聞く
- 音読&オーバーラッピングを行う
では順に解説します。
①概要を把握するため英文全体を数回聞く
書き取りを始める前に、まずは英文全体を何回か聞いて概要を把握します。
どんな内容なのかわからないまま書き取っていってもあまり効果はないからです。
この段階では細かいところは気にする必要はありません。
概要を把握したら、いよいよ書き取り作業の開始です。
②英文を1文ずつ聞いて書き取る
ここから書き取っていきます。
英文を1文ずつ音声を流して止め、聞き取った音声の英文を紙に書き出します。
もし1文が長い場合は、区切りのよいところで止めてもかまいません。
また、音声は何度聞いてもOKです。
どうしてもわからないところは空欄にするかカタカナで書いて先に進みます。
固有名詞はカタカナでもOKです。
このようにして英文全体の書き取りが終わったら、次のステップに進んでください。
③スクリプトを見て確認し、弱点を分析する
書き取った英文とスクリプトを照らし合わせて確認します。
間違っている部分が自分の弱点ですが、なぜ間違ったのか次のポイントをチェックしながら考えます。
・単語の音を聞き間違えた(違う単語に聞こえた)
・リエゾン(音の変化)が聞き取れなかった
・スピードに付いていけなかった
・スクリプトを見ても理解できなかった
上の3つは音声を繰り返し聞くことで解消しますが、一番下の「スクリプトを見ても理解できなかった」は単語または文法に問題がありますので、リスニング練習とは別に学習する必要があります。
単語を知らなかった場合はその単語を覚えましょう。
文法が理解できなかったのであれば、文法書に戻って復習しましょう。
すべてを確認して英文全体が理解できる状態になったら、次のステップに進みます。
④間違ったところを重点的に繰り返し聞く
③で自分の弱点がわかりましたので、その弱点を頭に入れながら、音声を繰り返し聞きます。
単語が聞き取れなかったのであれば、その単語を強く意識してリスニングし、リエゾン(音の変化)が聞き取れなかったのであれば、その部分を強く意識してリスニングする、という感じで行ってください。
ディクテーションの目的は「自分の弱点を見つけて克服すること」ですので、このステップは非常に大事です。
納得できるまで繰り返し聞いたら、最後のステップに進みます。
⑤音読&オーバーラッピングを行う
最後に英文全体に対して音読とオーバーラッピングを行います。
今度は口から音を出すことで、正しい英語の音を自分の中に定着させるのが目的です。
音読とオーバーラッピングについては以下の記事で詳しく解説していますので、そちらを参考にしてください。
ディクテーションの注意点
ディクテーションを行う上でいくつか注意点がありますのでお伝えします。
主に以下の点に注意してください。
・単語単位で音声を止めるのはNG
・意味を考えながら行う
・わからないところは推測する
・音声を流しっぱなしにしない
・広くカバーしようとしない
単語単位で音声を止めるのはNG
一語ずつ音声を止めて書き取っていくのはやめましょう。
つまり、以下のようなやり方はNGです。
This(止める)→ is(止める)→ a(止める)→ pen.(止める)
音声は1文全体を通しで流すか、1文が長い場合は区切りのよいところで止めてください。
単語単位で書き取っていくと、音のつながりや文の構造が把握できないため、ほとんど効果はありません。
意味を考えながら行う
必ず意味も考えながら行ってください。
音だけを紙に再現するというやり方はしないことです。
意味を考えることで、書き取った部分が正しいのかどうかを考えることになり、英文を理解する良いトレーニングになります。
書き取った部分の意味がよくわからない場合は、どこかが間違っている可能性がありますので、改めて音声をよく聞いてみましょう。
わからないところは推測する
聞き取れないところはすぐにあきらめるのではなく、そこにどんな言葉が入ればよいのか推測しましょう。
例えば、名詞の前だから「冠詞」や「形容詞」が入るのでは?など、考えてみることです。
そのためには基本的な文法の知識が必要ですので、ディクテーションに入る前に文法はひととおり学習しておきましょう。
音声を流しっぱなしにしない
音声を何度も止めるのは面倒だからといって、流しっぱなしにするのはやめましょう。
単語単位で音声を止めるのと似ていて、部分的に音声を聞き取ろうとする意識が働くからです。
面倒でも1文ごと、あるいは、区切りのよいところで音声を止めるようにしてください。
広くカバーしようとしない
1回分の学習を広くしないようにしてください。
ディクテーションの目的は自分の弱点をつぶすことなので、むしろ学習する部分は狭いほうが、弱点部分を反復する上で好都合です。
もし用意した素材が長ければ、途中で終わってもかまいません。
ディクテーションは「広く浅く」ではなく「狭く深く」です。
全文ディクテーションと穴埋めディクテーション
ディクテーションには「全文ディクテーション」と「穴埋めディクテーション」がありますが、基本的には「全文ディクテーション」をおすすめしています。
穴埋めディクテーションの場合、空欄になっている部分が自分の弱点ではなかったり、自分の弱点が空欄になっていなかったりするため、効果的なトレーニングができないからです。
初めてディクテーションに取り組むのであれば穴埋めディクテーションでもよいと思いますが、ある程度慣れてきたら全文ディクテーションに切り替えたほうがよいでしょう。
ディクテーション用の教材の選び方
ここではディクテーションで使う教材の選び方とおすすめの教材をご紹介します。
ディクテーション用の教材選びのポイント
ディクテーション用の教材は次のポイントを満たしたものを選びましょう。
・70%くらい理解できるもの
・30秒~1分くらいの長さ
・海外ドラマや海外映画は避ける
では順に説明します。
70%くらい理解できるもの
弱点を克服するのがディクテーションの目的ですので、ところどころわからない部分があるものが素材として適しています。
感覚でかまいませんので、理解度が70%くらいのものを選びましょう。
100%理解できるものだと弱点を見つけることができないですし、30%しか理解できないものは負荷が大きすぎて挫折につながります。
30秒~1分くらいの長さ
音声の長さは30秒くらいから長くても1分くらいまでのものを選びましょう。
短いものに関しては特に問題はありませんが、1分を超えるような長いものだと反復練習に不都合ですので避けることをおすすめします。
英文を書き取ること自体、時間のかかる作業ですので、このあたりの兼ね合いも考えたいですね。
海外ドラマや海外映画は避ける
海外ドラマや海外映画など、カジュアルな英語が使われているものは避けましょう。
カジュアルな英語はくだけた表現や省略などが多く、そもそも聞き取るのが難しいからです。
もしやるとしても、上級レベルになってからでも遅くはないと思います。
ディクテーション用のおすすめ教材
最後にディクテーション用のおすすめ教材をご紹介します。
TOEIC公式問題集
TOEIC公式問題集のPart3とPart4を素材として使います。
いずれも30秒~50秒くらいですので、長さとしてはちょうどよい感じです。
問題によって難易度に多少のばらつきはありますが、試験用ということもあって聞き取りやすいので、ディクテーション用の素材としておすすめします。
ゼロからスタート英語を聞きとるトレーニングBOOK
ゼロからスタート英語を聞きとるトレーニングBOOKはディクテーション用の市販教材になります。
穴埋め形式ですので、初めてディクテーションに取り組む人や初級レベルの人におすすめです。
日常的なシーンを題材にしていること、また、解説が詳しいことなどから、とっつきやすい教材と言えます。
いきなり全文形式のディクテーションから始めるのは抵抗があるという場合は、ここからスタートしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では『ディクテーションの効果的なやり方』について解説してきました。ここでポイントをまとめておきます。
ディクテーションは、流れてきた音声の英文を書き取る作業のことで、主にリスニング力を伸ばす練習として知られています。
ディクテーションの主な効果は次の2つ。
- 音に強くなる
- 文法に強くなる
ディクテーションは次の5つのステップで行います。
- 概要を把握するため英文全体を数回聞く
- 英文を1文だけ聞いて書き取る
- スクリプトを見て確認し、弱点を分析する
- 間違ったところを重点的に繰り返し聞く
- 音読&オーバーラッピングを行う
ディクテーションを行うときは、以下の点に注意してください。
- 単語単位で音声を止めるのはNG
- 意味を考えながら行う
- わからないところは推測する
- 音声を流しっぱなしにしない
- 広くカバーしようとしない
ディクテーションには「全文ディクテーション」と「穴埋めディクテーション」がありますが、基本的には「全文ディクテーション」をおすすめしています。
ディクテーション用の教材は次のポイントを満たしたものを選びましょう。
- 70%くらい理解できるもの
- 30秒くらいの長さ
- 海外ドラマや海外映画は避ける
ディクテーションには以下の教材がおすすめです。
- TOEIC公式問題集
- ゼロからスタート英語を聞きとるトレーニングBOOK
以上となります。