英会話教材の広告やCMを見ていると、英語の聞き流しは効果があるのかどうか気になりますよね。
もし効果があるのであれば、使ってみたいと思うのは当然のことです。
そこでこの記事では、英語の聞き流しの効果についてハッキリさせたいと思います。
これで「聞き流し」について迷うことはなくなるはずです。
聞き流しの効果はない?
英語の聞き流しに関しては効果が「ない」という意見が圧倒的に多いので、その理由について考えてみましょう。
効果が「ない」と言われる理由
ここでは、聞き流しは効果が「ない」と言われる理由について考えてみましょう。
よく言われるのがこれ。
雑音は雑音のまま
理解できない音声をただ聞き続けても理解できるようにはならないことを言い表しています。
理由は簡単で
単語や文法の理解がないから
です。
例えば、次の英文が音声で流れてきたとします。
This is a pen.
これは理解できますよね。
なぜなら、最初から意味を知っているからです。
では、次の英文はどうでしょう?
I had my secretary take the minutes.
先ほどのようにはいかないと思います。
この英文は
私は秘書に議事録を取らせた(取ってもらった)。
という意味ですが、
この英文が理解できるためには
- secretary という単語の意味がわかる
- minutes という単語の意味がわかる
- had が使役動詞だということがわかる
必要があります。
この中のどれが欠けても正確な意味にはたどり着けません。
こうした単語や文法を理解しない状態でこの英文を聞き流し続けたとして、いずれ意味がわかるようになるとは考えにくいわけです。
secretary なら何とか「秘書」にたどり着けるかもしれませんが、minutes が「議事録」と知るのはほぼ不可能だと思います。
minutes だから「分」?みたいなことになる可能性のほうが高いですね。
何が言いたいのかと言うと、
単語や文法の理解がないと、英文の意味はわかるようにはならない
ということ。
「雑音は雑音のまま」と言われるのはそういう理由からです。
仮に全体の内容や文脈からいずれわかるようになるとしても、あまりにも非効率だと思いませんか?
それより
secretary → 秘書
minutes → 議事録
had → 使役動詞
といったことを意識的に学習して理解したほうが早いですよね?
ということです。
聞き流しの効果が「ある」使い方
聞き流しで効果が期待できる場合もあります。
主に次の場合です。
- 単語を覚えるとき
- 定型表現を覚えるとき
- 理解している英文のリスニング力を上げるとき
何かを覚えるときには「目」だけでなく「耳」も使ったほうがより定着しやすくなります。
英会話学習においては単語や定型表現をたくさん覚えていく作業が必要になりますが、その作業に聞き流しを利用するわけですね。
何か他の作業をやっているときなどに音声を流しておけば、自然に頭の中に刷り込まれていきますのでそれなりの効果はあります。
例えば、買ったばかりのCDをかけっぱなしにしておくと、歌詞を覚えようとしなくても部分的には自然に覚えていきますよね?
それと同じです。
また、すでに理解できている英文であれば、刷り込みによって音と意味のつながりが強化されますので、リスニング力の向上につながります。
いずれも集中しているときより効率は落ちますが、やらないよりはやったほうがよいのは言うまでもありません。
疲れているときや集中できないときに「聞き流し」を行う、なんていう工夫も悪くはないでしょう。
結局、聞き流しは効果が「ある」か「ない」かというより、使い方次第ということ。
このあたりを理解した上で「聞き流し」をうまく利用したいですね。
聞き流し教材を使う価値とは?
ここまでのことを踏まえて、聞き流し教材を使う価値について考えてみましょう。
使い方次第で価値あり
広告やCMなどで「聞き流すだけ」と謳っているのがいわゆる「聞き流し教材」。使う価値はいかがなものでしょうか?
聞き流しであっても以下の場合は有効だと説明しました。
- 単語を覚えるとき
- 定型表現を覚えるとき
- 理解している英文のリスニング力を上げるとき
であれば、これらの目的のために聞き流し教材を使えないか考えます。
すると、この中では「定型表現を覚えるとき」が適していることがわかるでしょう。
なぜなら、聞き流し教材には英会話でそのまま使える表現(定型表現)がたくさん掲載されているからです。
定型表現というのは基本的にはそのまま使うものですので、覚えてさえいれば事足ります。
ですので、定型表現を覚えるという目的であれば、聞き流し教材は使う価値はあるでしょう。
でもおすすめはしない
聞き流し教材は定型表現を覚える目的には使えると説明しましたが、買うのはおすすめしません。
なぜなら、表現を覚えるだけなら、表現集を使ったほうが効率的だからです。
単語を覚えるなら単語集を買う。
リスニング力を伸ばしたいならそれ用の教材を買う。
これでよいと思います。
ただ、もしすでに聞き流し教材を持っているのなら、わざわざ捨てる必要はありません。
表現を覚えること以外にも、他の教材である程度リスニング力を付けた後に、戻ってきていろんなトレーニングに利用する、といった使い方もできます。
掲載されている英文自体は良いものだと思いますので、工夫して利用したいですね。
まとめ
この記事では『英語の聞き流しは効果ある?』について解説してきました。ここでポイントをまとめておきます。
英語の聞き流しは効果が「ない」と言われる理由は「単語や文法の理解がないから」です。
聞き流しの効果が「ある」使い方もありますが、それは主に次の場合です。
- 単語を覚えるとき
- 定型表現を覚えるとき
- 理解している英文のリスニング力を上げるとき
聞き流し教材は、定型表現を覚えることが目的であれば、使う価値はあります。
ただ、表現を覚えるだけなら、聞き流し教材ではなく、表現集を使ったほうが効率的です。
以上となります。