瞬間英作文はスピーキングの練習ですが、リスニングにも効果があるのか気になりますよね。
実際、瞬間英作文によってリスニング力が伸びたという人もいるようですので、迷うかもしれませんね。
そこでこの記事では、瞬間英作文がリスニング力を伸ばすのに効果があるのかどうかについて解説します。
迷いながら取り組んでいても効果は薄いので、ここでハッキリさせましょう。
瞬間英作文とリスニングの関係
瞬間英作文でリスニング力はアップするのか?瞬間英作文のトレーニング内容に焦点を当てて考えてみたいと思います。
瞬間英作文で鍛えられる力とリスニングに必要な力
ここでは、瞬間英作文によって鍛えられる力とリスニングで必要になる力を確認しましょう。
まずは瞬間英作文で鍛えられる力について。
瞬間英作文は文法の知識を使って英文を組み立てるトレーニングです。
「知識としての文法を使える文法にするトレーニング」とも言えるでしょう。
つまり、瞬間英作文を続けることによって文法の運用力が向上します。
次にリスニングに必要な力について。
リスニングには次の3つの力が必要です。
- 音を認識する力
- 単語を認識する力
- 文法を理解する力
このうちのどれか一つでも欠けると、正しく聞き取ることはできません。
これについては以下の記事で詳しく解説しています。
以上から、次のことがわかります。
瞬間英作文で鍛えられる力とリスニングに必要な力は「文法」という共通項でつながっている。
つまり、「文法」がポイントというわけですね。
文法の運用力が向上すればリスニング力は伸びる?
では、「文法」という共通項でつながっているという理由で、瞬間英作文によってリスニング力が伸びるかどうかというと、必ずしもそうとは言えません。
先ほど示したように、残りの2つの要素である「音を認識する力」と「単語を認識する力」が関わってくるからです。
そもそも「音」が認識できないと、その後の処理ステージである文法解析はできないですし、「単語」が認識できないと英文の正しい意味はつかめません。
つまり、英語が聞き取れるかどうかは「文法」だけではなく、「音」や「単語」まで含めた理解によって決まるということです。
逆に言うと、「音」や「単語」に問題がなければ、「文法」を鍛えることで、リスニング力は伸びる「可能性」があります。
ここでもまだ「可能性」にすぎません。
なぜなら、瞬間英作文を始める前の文法の運用力によって変わってくるからです。
端的に言うと
文法の運用力が低い → 伸びる
文法の運用力が高い → 伸びない
となります。
文法は知識として備わっていても運用力が低いと、音声が流れてきたときにパッと反応することができません。
逆に文法の運用力が高いと難なく音声に反応することができます。
これがリスニング力の差となって表れるわけです。
つまり、文法の運用力が向上すればリスニング力は伸びますが、すでに高い運用力を持っている場合は瞬間英作文をやってもリスニング力にほとんど変化はない、ということになります。
瞬間英作文に付属のCDを利用すればどうか?
瞬間英作文はシリーズの教材にCDが付属していますので、このCDの音声を使えばリスニング力が伸びるのかどうか考えてみましょう。
結論から言いますと、これだけでリスニング力が伸びるとは思わないほうがいいです。
なぜなら、あまりにも非効率だから。
付属のCDは、一文ごとに
日本文 → ポーズ → 英文
という形で収録されています。
つまり、瞬間英作文のトレーニングに費やしたトータルの時間に対して、英語の音声を聞いている時間が圧倒的に少ないわけです。
しかも、一文ずつ聞いていくという断片的なリスニングになります。
どう考えても非効率だと思いませんか?
これなら、リスニング用の教材を別に用意して、それで学習したほうが効率的です。
瞬間英作文のトレーニングとしてCDを利用するのはよいですが、リスニング力を伸ばすためにCDを利用するのはおすすめできません。
瞬間英作文でリスニング力が伸びたという意見
ここでは、瞬間英作文をやってリスニング力が伸びたという人の特徴について考えてみたいと思います。
文法が完全に定着していなかった可能性
瞬間英作文をやってリスニング力が伸びたという人は、瞬間英作文を始める前の英語力はどんな感じだったのでしょうか?
瞬間英作文でリスニング力が伸びるかどうかについて、先ほど以下のような基準を出しました。
文法の運用力が低い → 伸びる
文法の運用力が高い → 伸びない
つまり、文法が完全に定着していなかった可能性があるのです。
瞬間英作文 → 文法の運用力がアップ → リスニング力がアップ
こんな成長過程が見えてきます。
もちろん、「音」や「単語」が身に付いていることが前提ですが、その上に「文法」という要素が積み上がった形です。
しかし、瞬間英作文をやってリスニング力が伸びたのはこれだけが理由ではありません。
もう一つ考えられる可能性があります。
それ次です。
瞬間英作文以外の学習による効果の可能性
瞬間英作文をやってリスニング力が伸びたと主張していても、瞬間英作文しかやらなかったとは考えにくいです。
音読をやったりシャドーイングをやったりと、いろいろやっている可能性があります。
つまり、瞬間英作文以外の勉強もしていて、それらすべてによる効果だと考えるのが自然ではないでしょうか。
他の勉強をまったくせず、瞬間英作文だけをやったというのであれば話は別ですが、そうしたケースはまれだと思います。
瞬間英作文は基本的には話す力を鍛えるトレーニング法ですので、何もこれにリスニング力を伸ばす効果を期待しなくてもよいのではないでしょうか?
- 瞬間英作文はスピーキング力強化のために使う
- リスニング力を伸ばしたいのであれば、リスニングのための勉強をする
これでよいと僕は思います。
リスニングの勉強法については以下の記事で解説していますので、そちらもあわせてご覧ください。
まとめ
この記事では『瞬間英作文はリスニングに効果ある?』について解説してきました。ここでポイントをまとめておきます。
瞬間英作文で鍛えられる力とリスニングに必要な力は「文法」という共通項でつながっているため、瞬間英作文をやることによってリスニング力が伸びる可能性があります。
「可能性」と表現したのは、瞬間英作文を始める前の文法の運用力によって、リスニング力の伸びは次のように変わってくるからです。
文法の運用力が低い → 伸びる
文法の運用力が高い → 伸びない
瞬間英作文に付属しているCDを使ってリスニング力を伸ばすのは非効率ですのでおすすめはしません。
瞬間英作文をやってリスニング力が伸びたと主張していても、実際には瞬間英作文以外の勉強をいろいろやっていて、そうした勉強すべてによる効果の可能性が考えられます。
以上となります。